首里城の鎖之間で提供されていたお茶とお菓子のセット
琉球王朝時代には王家に納められ、その後は首里城の鎖之間(さすのま)にて一般の人にも提供されていた、高級さんぴん茶と琉球菓子。
その伝統的な味が楽しめる魅力的なギフトセットは、どのように生まれたのでしょうか。
新垣カミ菓子店の伊波元丸さんに、「首里城鎖之間セット」の開発裏話や商品に込められた思いなどについて様々なお話を伺いました。
「首里城鎖之間セット」開発のきっかけとは?
弊社の先駆けである「新垣菓子店」は、1800年代に琉球にて創業しました。
創業者は中国と日本の製菓を学び、その両方を取り合わせた琉球独特のお菓子を生み出します。
その後「新垣菓子店」は戦争のため営業を中断しましたが、当店に嫁いでいた新垣カミによって戦後数年後に首里で再開されました。
やがて「新垣菓子店」は、カミの息子の代に「新垣カミ菓子店」へと生まれ変わります。
かつて琉球王家に納められていた弊社のお菓子は、首里城が2019年10月に焼失するまで、正殿にある鎖之間で一般の人々に提供されていました。
首里城の消失で、琉球の味とお客様を繋ぐ唯一の場所を失った私たちは、鎖之間でお出ししていたお茶とお菓子を多くの方に味わっていただくため、この商品を開発したのです。
こだわりの素材と伝統的な製法
弊社のお菓子は、琉球王朝時代から作り方も味も変わっていません。創業時の製法と味を守り抜くことが新垣カミの信念だからです。
私たちは当時と同様に、手間と時間をかけ毎日手作業でお菓子を作っています。
また、小麦を始めとするすべての素材は国産です。
「ちんすこう」に使用しているラードは九州産のもの、黒糖は波照間産、そして「花ぼうる」や「ちいるんこう」には、地元沖縄の安室鶏卵を使っています。
保存料や香料などを使わない昔ながらの琉球菓子
本商品には、鎖之間で提供していたお茶とお菓子がそのまま揃えられています。
セット内容は、ちんすこうと黒糖ちんすこう・ちいるんこう・花ぼうる、そして高級さんぴん茶です。
「花ぼうる」は小麦粉と砂糖の繋ぎに卵黄のみが使われていて、卵の味と優しい甘さが感じられます。
「ちいるんこう」は、生地に赤く染めた落花生や、桔餅(きっぱん)を刻んで混ぜ込み、蒸して作られます。桔餅は、柑橘類を煮て砂糖衣で覆ったお菓子です。
落花生の着色には、紅麹菌の発酵により抽出されるベニコウジ色素が使われています。紅麹は中国や沖縄で食材として伝統的に用いられてきました。
私たちは、化学的な添加物を使わず天然由来のものにこだわって、昔ながらの琉球菓子を作り続けています。
首里城の再建を目指して
首里城と深い縁のある弊社では、首里城再建に貢献する方法を探していました。
そして鎖之間でお出ししていたお茶とお菓子を、首里城再建寄付対象商品として販売することにしたのです。
本商品もそのひとつで、売上金の一部が支援金として寄付されます。
これらのお茶とお菓子を楽しみながら、首里城のことを思って頂ければ大変嬉しく思います。
琉球文化のひとつとしての琉球菓子
弊社では、多くの方に琉球菓子のことを知ってもらう機会を作りたいと考えていました。
そして試行錯誤の末、本商品の開発とインターネット販売に辿り着いたのです。
オンラインショップでは焼きたてのものを発送し、より美味しいお菓子をお届けできるよう工夫しました。
琉球王朝時代に生まれ独自の製法で作り続けられてきた琉球菓子が、琉球文化のひとつとして広く認知されるようになってほしいと強く思っています。
首里城焼失やコストの問題など苦労は絶えませんが、これからも地元の方やお客様への感謝を忘れず、真摯にお菓子を作り続けていきます。
商品名:首里城鎖之間セット(高級さんぴん茶、琉球菓子セット 黒糖ちんすこう入り)
価格:4,104円(税込)
トレンド調査 ベストプレゼント編集部
様々な琉球の味を、家族団欒やお茶会などで楽しんでもらえます。
贈るときには、
「琉球独自の味を感じながら、首里城のことを思い出してね」
と、首里城と同様に琉球菓子も琉球が生んだ文化であることを伝えてみてください。